第18回 黄金の切符

 

  時の流れるのは早いもので、暦はもう3月になる。

新年早々、暖冬から一転した寒波の襲来もようやく腰を上げたようで、朝の寒さも少し緩んできたように感じる。歩いているとそこここに春の兆しがみられ、何やら心も軽くなるようだ。

 

 さて、「上達コラム」も18回目を迎える。1年を一回り半したことになる。今回は「ギター上達」のコツとスキルについて考えてみよう。

『「コツ」は ❝こつこつ❞ やることだ 』とは、よく言われる事である。

「こつこつ」続ければどんな技能も上達することぐらいは言われなくても分かっていると思っているだろうか。だが、軽くみてはいけない。

頭では分かっていても、現実に「こつこつ」続けていくことは、考えているより遥かに難しい。日常というのは不意の出来事がつきものだから

よほどの覚悟や決心がないと出来事に流され、素晴らしい計画も元の木阿弥ということになりがちだ。

 

 そんなとき、「初心に戻って考える」ことが大いなる助けになることがある。そもそも、何故ギターを弾くようになったのか。どんな思いでギターを手にしたか。ギターへの「熱い思い」が蘇ってくる「きっかけ」のところまで戻ってみるのだ。消えない「地熱」がもたらす「憧れの力」こそが、あなたの行動力の源だ。初心が運ぶ新鮮な思いは、新しいエネルギーとなってあなたを「再びの道」に引き戻してくれることだろう。ところで、「こつこつ」に勝るとも劣らない上達のための志がある。それは、「挑戦する心意気」である。

人前で演奏するのは勇気のいることだ。それでも、敢えてそこに自分を追い込んでみることで見えてくる境地は、行動を起こした者にしか分からない「渾身の志の世界」だ。行動を起こさなければ失敗もない。

だが、達成した時の身震いする様な至福の感動を得ることもないのだ。

目の前にチャンスがあるなら迷わず挑戦してみよう。挑戦は上達への輝かしい王道。そしてそれは、誰の前にも平等に差し出される「黄金の切符」。だが使わなければあっという間に消えてしまう「夢切符」でもある。

 

 3月は豊田市の会場で第4回「ティータイム・ギターコンサート」が開催される。普段の「こつこつ」を披露する絶好のチャンスといえる。

今取り組んでいる曲目に光をあてるために、初心に戻り、熱い心で挑戦して欲しい。

                                          2016.03.01

                                                                                                                      吉本光男